金属の腐食のメカニズムについて  腐食のプロセス(図)
1.腐食の原因
 腐食は、金属が環境(気体・液体・固体)と触れている界面で濃淡電池が形成されて起こる. つまり、自由電子を持つ金属構造そのものが不確定要因を持っているので、一定(固定)にすることは出来ないからである. その不確定の強弱は、金属自身が持つ電子授受の強度(標準電極電位)で決定される.

2.金属の内部に起因するもの
1. の金属自身が持つ自由電子の存在によって引き起こされる腐食以外に、金属内部の問題がある. 金属の内部は@転位(らせん・刃状) A転位源 B空孔 Cステップ(段差) D不純物 Eピット Fキンク G格子欠陥などの不安定要素の存在を発端として起こることが知られおり、例えば加工による粗大すべりでの結晶露出や加工硬化による結晶粒度の変化により、表面活性が高まることから、この手の腐食は金属の加工による塑性変形履歴と大きく関係し、1.を加速することになる.

3.金属表面の傷・表面粗さに起因するもの
金属の表面エネルギー状態は、電位的に不安定であり、その電位を中和する働きがある. その結果、大気及び水分・水にイオン化した無機物塩や有機物が金属表面と吸着・反応し、安定した表面にはなるが、腐食の問題に最も多くの鍵を握っている場所である.

4.油剤がらみに起因するもの
一般に、伸線油は金属加工に必要な潤滑効果を目的としており、金属の表面エネルギーを低下させる吸着・反応物質(イオン性を有するもの)が多量に含まれていて、表面と反応し腐食要因物質が形成する. 潤滑性の悪い油剤の場合は、表面が大きく損傷して油膜の付着量が増大し、腐食要因物質が深く浸透して行き腐食の程度は、より深刻となる. 従って、潤滑効果を優先し損傷を最小にすることが、腐食の促進を防ぐことになる.
(イオン性を示さない非イオン系は、潤滑効果の欠乏に加え水を抱え込む性質があり、最も危険である)

5.異種金属の接触
異種金属を接触させた場合、濃淡電池作用により電流が流れる. その度合い(腐食速度)は置かれた環境で大きく変動する.

 変色要因の種類

この場合は伸線機より出て来たしぶきが仕上り線の置き場の方に飛散して行かぬようにするか、仕上り線の上にビニール等で覆うことで解消する. 

腐食の防止は、このような環境に置かない工夫を心がけると供に、適切な防錆剤の使用により回避出来るものであります.

参考に、銅線の変色部位をEPMAで測定した時に検出した元素と出現頻度を下記に示します。
元素名 出現比 出現回数 順位
Cu 100% 62 1
O 100% 62 2
C 69% 43 3
Ca 37% 23 4
B 29% 18 5
Na 26% 16 6
Os 26% 16 7
S 26% 16 8
P 24% 15 9
Fe 21% 13 10
Pr 19% 12 11
K 18% 11 12
Si 18% 11 13
Ba 16% 10 14
Cl 16% 10 15
Al 13% 8 16
Mg 13% 8 17
元素名 出現比 出現回数 順位
Zn 11% 7 18
V 10% 6 19
Sn 6% 4 20
Ti 6% 4 21
Cs 3% 2 22
Mo 3% 2 23
Ce 2% 1 24
Cr 2% 1 25
In 2% 1 26
Lu 2% 1 27
Mn 2% 1 28
Pu 2% 1 29
Rb 2% 1 30
Re 2% 1 31
Sb 2% 1 32

腐食のプロセスを図解致します

Step 1) ここでは、腐食要因である酸素や水の単純系での腐食を図で表現し、そこでの反応式を示した. 

(金属と水との境界に酸素が関与し、金属+酸素+水 = 金属水酸化物 が生成する反応となる) 

Step 2) 時間と共に金属表面が水によって濃淡電池が形成され、水の電気分解が起こり水酸化物が生成する. (腐食の始まり)

Step 3) 水が蒸発し、金属酸化物が残る. これを変色と呼ぶ.


■詳細につきましては、防錆技術便覧等をご参照願います.

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