■■■ 発泡現象と対策について ■■■

泡の定義

■気泡がたくさん集まって液体あるいは固体の薄い膜でへだてられた状態を泡沫という。

この現象は、液体と気体の界面状態が重要な鍵を握ってる。 このように液相と気相とから出来ている泡沫を2相泡沫と言うことがあり、このほかに固体粉末を含む場合がある。
泡立ちが著しいのは液体が溶液の場合に限られており、純粋な液体では、この様なことは起こらない。

場合に応じてこれらを利用するには、泡沫の安定化と不安定化の機構を知らなければならない。


泡沫の構造

一般に表面張力が強ければ泡立ちが易いといわれるが、それに従うケースは低く むしろ無関係であると言う場合が殆どである。

通常環境下では、泡の膜を作っている液は絶えず流れ、蒸発し、収縮している非平衡の状態にあるので、平衡時の表面張力(理想状態)の意味をなさないのである。

図-a 図-b

 泡沫の安定度の因子は、膜を通しての気体の拡散、膜中の液体の重力による流下および膜中の圧力差のために起こる液体の流動である。   


界面化学的要因による発泡の条件
水溶性潤滑剤は、成分構成上 少なからず下記の問題が絡み使用時に発泡します。
@ 製品中に含まれる界面活性剤の活性度が高い(製品により異なります)
A 温度が低い場合、泡の膜粘度が強く膜が破れない(濃度とも関係します)
B 稀釈する水質の硬度が低いか、軟水処理(RO等)を行った水を使用
C 長期使用により液粘度(膜粘度)が高くる(油剤成分が酸化し、重合して行くために粘度が高くなる)
機械的要因による発泡の条件
@ 機械への供給ポンプの圧力が強い場合
A 液の循環にフィルターが装着されている場合
B 伸線機械にサブタンクが付属してない場合
C 循環パイプの内部が汚れ、内径が狭くなった場合
D 液が戻るタンクへの戻りパイプが液に浸かってない場合

発泡場所
@ 伸線機械内のみ : 物理的な現象で、例えばキャプスタンが液に完全に浸かっている機械的構造の場合 等
A タンクのみ : タンク容量が小さかったり、戻りの配管と液の落差が大きい時 等
B サブタンクのみ : Aに同じ
C @+A : 機械構造で発生する泡がタンクで消えずに残る
   システムと油剤が合わない
   ポンプの圧力が高すぎる。 この場合はインバーター等で調整する
D @+A+B : Cに同じ

の組み合わせがあります。

発泡原因と対策

■ 発泡のステージは、初期・中盤期・末期に分けられ、それぞれ液の成分構成がシフトするために対策と処方が異なります。
  水溶性潤滑剤の発泡対策は、下記事項を行うことで回避することが可能です。

◆この次期は液の状態が不安定となり、通常の管理が成立しない(調整剤の効果が発揮出来ない)場合が起こりますので、要注意です。

■ 発泡が収まり始め、全てのシステムを作動させた時に泡立ちが無いことを確認した上で、通常のオペレーションを再開してください。


発泡の緩和対策
  1. 液の濃度を下げることが出来る場合は出来るだけ抑制して下さい。フィルターを使用している場合は、フィルター回路を遮断し泡が落ち着くまで運用を停止してください。(泡消しに有効な成分がフィルターで濾し取られることを防ぎます(期間は10日間前後))
  2. 初期濃度は20〜30%減とし、場合によっては交換前の伸線液の一部保管し新液に添加することをお奨めいたします。
  3. 液温が高いほうが泡の水準が低下しますので、熱交換器を使用している場合は、制御温度設定を40〜45℃に変更してください。
  4. タンクの張り込み量は極端に下げないでください。(液の落ち込み落差が高くなり表面を余計に叩くことになったりポンプの循環回数が増加することで細かくなり、消えにくくなることがあります。)
  5. 溢れ出た伸線油剤はタンクに戻さず、ほかの容器に保管しておいて下さい。
  6. 軟化水を使用している場合は、補給する水は水道水(硬度がある水)のみを使用してください。
  7. ポンプの圧力が調整できる場合は、各機械への圧力を出来るだけ均等にし低い圧力でご使用ください。

尚、上述の処置でも解消しない場合は、ご使用液のサンプルと稀釈水を200ml程度お送り下さい。

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